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2006年9月 7日 (木)

蝉の国

日本は蝉の国だと思う。今の季節、日本中何処を旅行していても、蝉の鳴き声が響いてくる。

朝早くと夕方なら、遠くで鳴くヒグラシのややもの悲しい声。辺りが薄暗いことも一層気分を盛り上げる。日中は明るくうるさいミンミンゼミ、じっとりして暑苦しいアブラゼミ、ハッキリしないニイニイゼミ、少し風変わりなツクツクホウシ、全山沸き立つようなクマゼミ。今の季節は、夜中でもアブラゼミが、一声、二声鳴くのが聞こえるときがある。寝ぼけているのかも知れないが、慌てて止めるような感じもして自分は好きだ。

日本の蝉は56年地下で過ごすらしいから、地上の状況が変わらなければ、来年出てくるもの、2年後、3年後・・・に出てくるのも達が、地下で並んで、幼虫時代を過ごしているのだろう。そのもの達の子孫が、順繰りに地下に入り、自分たちが地上に出る順番を待って、長い間地下で過ごしている。

調べたところに因ると、その年に産み付けられた卵は翌年に孵化して地下に潜る、この時の生存率は5%以下。地中に56年居て、成虫で約2週間の命。1m以上の地下から、23週間掛けて穴を掘り上げながら、地上寸前で止まって、本能が今だ、と命じるまで、ジッとして時季を待って、地上に這い出て、羽化するための高い木を探す。

そして地上に出て来たら、事故がなければ羽化して、羽が硬くなって飛べるようになるまで待つが、その前の待ちに比べたらほんの一瞬。そして飛び立って気に入った木を探して止まる。さあ飲んで歌って喋って食べて、恋をして、子孫を残して、そしてサッサと死んでしまう。死ぬ前に地上に転がって、手足がゆっくり空を掻いているときは、もう陶酔の夢の中。

先月の末に外房に行ったときに、日曜日の朝、家の土台に蝉の脱け殻が有り、その少し上に、ご本人が鎮座していた。驚かすつもりは無かったが、近づいて覗き込んだら、飛んでいってしまった。これから飲んで歌って・・・
 子供の頃、偶然羽化を観察したことが有る。その時とは見る目が違っている。残念で有った。前日夜に気付けば、じっくり彼の(もしかしたら彼女の)気分を想像しながら、じっくり観察できたものを。そのうちデジカメを持って、近くの公園に行ってみようかなあ。但し怪しいおじさんと、思われるだろうなあ。蚊取り線香を焚いて、木々の間を彷徨いて、暗い中、LEDライトを付けて、地面や木を一本一本見て歩く。そのうち歩いている蛹を見つけたら、近くにお停まりいただいて、レジャーマットの上に寝そべって、タバコを吹かしたり、水を飲んだり、菓子を食ったり。時折メモを取りながら、デジカメで撮影。彼と同じように楽しみながら。

レジオンドヌール勲章の略章も胸に付いている訳ではないから、質問をするような人には近づいて来て欲しくない。思っただけでも、ちょっと心躍り、ちょっと憂鬱な気分。いいおっさんが「蝉の羽化を観察して居るんですよ」誰も信じないなあ、ついでに「学校の自由研究で出そうと思って」これは冗談。

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