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2006年10月19日 (木)

銀杏

昔友達と飲みに行くと、誰かが焼き鳥を頼んだ時についでに、銀杏焼きを頼んで食べた。その他大勢の注文の様にしていたが、その内、焼き鳥を頼むと必ず銀杏も来て、自分がいつも食べているのが発覚してしまった。鍋物に串刺しの銀杏が有れば、何かを取りながら必ず取って食べたのもついでに発覚した。別に悪事では無いから発覚しても、どうと言うことも無いのだけれど。段々誰かが焼き鳥を頼むときは、こちらを見て「銀杏」という目を向けられた。こちらも目で合図した。

数年前に北風が吹き始めた頃近くの公園のベンチでボンヤリ座っていたことが有る。広い芝地の向こうの林で、数人の人がなにやら怪しい動き。ジッと見ていたら何かを拾っている風。彼らの近くに大きな公孫樹の木、銀杏拾いだった。そのころ自分は23年続けてちょっとした知り合いの老夫婦から、両手の平一杯の銀杏を貰っていた。彼らは農家のご隠居さんと言うことだったから、多分自宅のお庭で拾ったのだろうけれど。綺麗だったからとても手間が掛かっていた。自分のような者にもくれたぐらいだから、相当多量に拾っていたのだろう。

自分はいつも10個ぐらいずつ大事に食べていた。勿論一度に大量に食べたり毎日食べたりすれば、体に悪いと言われているのは知っている。そんな理由からではない。好きな物を時々食べて楽しむ、と言うことと又、好きとはいえ、ああ言う物は一度に何十個も食べられるものではない。

最初はフライパンで煎って、口が開いたら少し冷まして食べていた。その内知恵が付いて茶封筒に入れて電子レンジで加熱、バンバン跳ね始めたら食べられる。簡単だけれど、フライパンで煎るのと違って、果肉の臭みが少し出る。

ずっと昔、田舎に住んでいた子供の頃、近くに何回か拾いに行った。当時は未だレジ袋という物が無かったから何に拾ったかは覚えていない。紙袋か何かの布の袋に拾ったと思う。火バサミを持って行った記憶はないから、その場で木の枝を使って箸を作って拾ったと思う。当時それは余りにも日常的なことで、遠い過去に成ってしまえば、詳しいことは殆ど覚えていない。印象的な23の情景を覚えているだけである。家に持ち帰り裏の畑に埋めておく。23週間して思い出したら掘り出す。洗って乾燥させれば出来上がり。思い出さなくて掘り出す前に雪が降って、それっきりに成ったのも少しはありそうだ。

冬の間時々出してはストーブの上に乗せて焼いて割りながら食べた。家の人達が食べたのか、食べなかったのか全然覚えていない。自分だけが好きで自分だけが食べていたのかも知れない。季節だしその内何十年ぶりに銀杏を拾いに行くか。何十年前の自分がもしかしたらそこに現れるかも知れない。

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