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2006年11月26日 (日)

三転三起

数日前、いつものようにブラブラと朝駅に向かった。大部分は早足で歩いている。中には小走りの人もいる。一人の若い女性が、ハイヒールの音を響かせて可成りの早足で自分を追い越して行った。少し先の歩行者用信号機が、青の点滅になった。その人は鞄を押さえて、小走りになった。歩道の前で側溝のグレーチングにヒールが刺さった。ヒールが折れてグレーチングに刺さっていた。主を失ったヒールは凄い間抜けに見えた。若い女性は、そこでたたらを踏んでから転倒した、そのまま少し滑って、頭がガードレールの支柱にゴツンと当たった。みんな驚いていたが、渡ろうとしていた殆どの人は、「あーあ」「大丈夫かなあ」「痛そう」「かわいそう」「ふん」とか言って通り過ぎてしまった。

信号機が赤になって人が溜まってきた。23人がしゃがみ込んで、口々に声を掛けて助け起こした。若い女性は鼻血が出ていた。額が少し擦りむけていた。膝にも血が滲んでいた。目には涙が溢れていた。顔は半泣き。その人達が世話をしている声を聞きながら、自分は少し離れていたことを良いことに、そのまま駅に向かった。いつのも電車のいつもの車両に乗っていつものつり革に掴まって出発した。

いつもの駅で降りて、ブラブラとバス停に向かった。階段を下りていると、ミュールを履いた若い女性が、階段の端をヒールの音を響かせて降りてきた、何の弾みか片方が空中を飛んで階段を23段転がって止まった。若い女性は足が縺れてグズグズと転び、56段転げ落ちて、地面で止まった。正確に言えば、そこで寝ていた自由人の上に落ちて止まった。落ちた若い女性も自由人も周りの人もびっくり仰天。傍に居た人が助け上げて、近くの人がミュールを拾って履かせてあげた。若い女性は膝や腰、腕などあちらこちら痛がっていた。顔はもう完全な泣き顔になっていた。特段の怪我は無かったようだ。自由人は事態がよく飲み込めていなかった。自分は離れていたことを良いことに、そのままバス停に向かった。いつものバスがいつもの様に来た。いつもの席にいつもの様に座って駅を後にした。

いつものバス停で降りて歩道の横にある植え込みが少し切れたいつもの所を渡ろうとした。植え込みに入ろうとした瞬間、歩道の縁に爪先が引っ掛かった。悪いことに体が回転し転んだ。植え込みの中に仰天して倒れた。頭を道路に打った。痛かったけれども変な感触が有った。悪いことに丁度そこに犬の糞が有った。頭にべっとり付いた。植え込みの中に体が沈み宙づり状態となり身動きが出来ない。通行人はいつものように少なく誰も気付いていない。引っ繰り返った死に損ないの蝉の様に暫く手足が天を掻いてから、やっと起き上がった。近くの公園で頭を洗ったけれど、一日中、周りの人からチロチロ見られた。

その日は三人転んだ。一人目はハイヒールを履いた若い女性、二人目はミュールを履いた若い女性、三人目は安全靴を履いたおっさん。

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