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2006年12月 6日 (水)

筍と菊の花

今年の春先、顔振峠方面へ行った。昔は良くそちらの方に行っていた。今は年に23回程度行くぐらいである。適当に地図を見て、その時の気分で距離を決めている。弁当持参の時も有る。途中コンビニで買う時もある。街を通過して歩く時は、食堂に入ったりもする。

その日は弁当持参であった。久方ぶりにその駅に降りた。少し歩くと札所のお寺が有ったので、参道を登ってお参りをした。特に何かを願ったわけではない。小さなお寺でも木々は比較的大きい。自分はそんな静かな所が好きだ。多分昔からそのお寺はそこに建っていた。村の人達が営々と守ってきた。きっと何かを願った人も居た。子供の病気の平癒を願った人も居た。

途中に迷いそうな道は無い。ブラブラと春の暖かい日を浴びながら、ゆっくり登った。沢筋が有れば、ちょっと入り込んで山菜を探したが、目的のものは見つからなかった。ずっと昔来たときに、小さな沢で、群生しているのを見つけたことが有る。最近は何処も沢の水が少ない気がする。山が以前より水を蓄えなく成った。

昼近くにベンチを見つけたので、そこで休んで弁当を食べた。たくさん水を飲んだ。暫くそこに座っていた。春の日射しは眩しく熱かった。

少し登りのきつい曲がり角を曲がって行くと、小柄な80代の老人に話し掛けられた。初め言っていることが良く飲み込めなかった。近づいて話を聞いた。タケノコを持て行かないか、との問いであった。売っている風では無かったが、出し抜けで少し黙っていると、続けて言うには、道路際の斜面に有る竹を間引きして清掃をしていると、タケノコが採れるので、食べて貰おうと思って声を掛けたとのこと。有り難く頂いた。手頃な大きさのタケノコ2本。その老人とは23分話をして先に進んだ。後から考えてみると、もう少し話をすれば良かった。タケノコを貰って貰えて嬉しかった、と言っていた。顔は本当に嬉しそうであった。こちらも彼の顔を見ていて気分が良かった。彼の生きてきた道を少し感じた気がした。彼は少し勇気を持って話しかけただろうに、もう少し辺りさわりの無いことを聞いて、少し話が進んだら、昔の事を少し聞いて見れば良かった。彼も自分ももう少し心に残る話が有ったかも知れない。

それから半年、近くを散歩しているときの事。そちら方面へは久しぶりだった。大きなホームショップを覗いてちょっとしたものを買っての帰り道、有るお宅の庭先で呼び止められた。60代の男性である。庭仕事をしていた。菊が庭の片隅に乱れて咲いていた。彼は清掃しながら、菊を片付けていた。菊の花が適当な大きさに切られて束ねられていた。菊の花を持って行かないかとの事。有り難く頂いた。捨ててしまえば、草ゴミ。ちょっと小さな勇気を出して、少し話をして、菊の花。

暫く自分の家でその菊の花は咲いていた。花を呉れた人の親切な顔を何度か思い出した。

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