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2007年2月25日 (日)

スノーダンプ

田舎の実家に住んでいた頃は、冬によく雪掻きをした。

自分は雪掻きが好きだった。作業療法みたいな物で、青春の憂鬱もその時は忘れた気がした。始めるときは寒い、少しずつ体が温かくなる。息が少し早くなる頃には雪が降って居なければアノラックを脱ぐ。その後はトリップしている様な快感。頭の中は空っぽで、夢中で雪掻きをするだけ。無念無想では無いけれど、何か心が軽く成った気がした。

田舎を離れた。冬に帰郷すれば雪掻きをした。近隣に嫁いだ姉が良く家に来ていた。姪も一緒に来ていた。当時45歳。自分が雪掻きを始めると見に来た。2回目からは催促する様な雰囲気が有った。

毛糸の帽子、ピンク色の上下揃いの防寒着。長靴、二本指の手袋、その紐が首に掛かっていた。色白の小さな女の子。暫くは黙って玄関先で見ていた。少し危ない所が終わると、自分は彼女を手招きした。彼女はこれを待っていた。喜び勇んで駆け寄ってくる。

自分はスノーダンプに雪を積み終えるとバンバン叩いて、上を平らにする。その上にスポンジを敷く。そこに彼女は乗る。ゆっくり押して小川の畔まで行く。彼女はスノーダンプから飛び降りる。自分は雪を小川に捨てる。スノーダンプは空だ。彼女はスノーダンプに乗る。ゆっくり向きを変える。「良いか」「ハーイ」小走りに押して元の位置に戻る。彼女は楽しくて仕方が無い。「アアアアー」彼女は大きな声を出して喜ぶ。それを延々と繰り返す。こちらも最後は顔に汗が滲む。体は益々熱くなってくる。彼女も段々熱くなってくる。小さなアノラックを脱ぐ。暫く雪掻きと遊びを続く。雪掻きが終わって、彼女も満足して2人は家に戻る。

彼女はアイスクリームを食べる。自分は冷たい飲物を飲む。彼女は母親に雪掻きの手伝いをした事を報告する。母親はニッコリ笑って「良かったね」。彼女は雪掻きの様子を色々報告する。軒下から雪を集めて、道路を渡り、小川に雪を捨てた事、何回も何回もやった事。とても疲れた事。体が熱くなった事。母親はいちいち返事をしながら聞いている。

最近は特段の用件が無ければ帰郷する事も無くなった。今は当時より雪の量が減った。田舎の人達も雪掻きの回数が減った。

今でも雪掻きした頃の事が鮮明に思い出される。小さかった姪も今は二児の母で下の子も、雪掻きの頃の彼女より大きい。遠い昔の事に成った。

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