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2007年2月 8日 (木)

服装に合った季節

昔、自分が高校1年の時、『学生服組』を作った。

メンバーは自分を入れて4~5人。まあ一種の排他行動で、自分達としては自分達の独自性とか、超越性を表現したかったのだろうけれど。いやもしかしたら、サラリーマンになって、真夏の炎天下スーツを着て町を歩くための早期訓練か。勿論当時そんな分析は無かった。他の人から見れば、単純で無害でお馬鹿な一団。

我々は、高校3年間を学生服で通そうという誓いを立てた。

真夏が来た。幾ら秋田と言っても夏は暑い。避暑地の様に涼しいと思っている方がいらっしゃればそれは誤解です。夏は暑いです。蒸し暑さは今の東京のヒートアイランドの様なことは有りませんけれど。ああ、暑い暑いと言うのもまあ1ヶ月ぐらい。それでも暑いのは暑い。

学生服の下には長袖のワイシャツを着ている。そんな格好の全く賢く無さそうな高校生が4~5人屯していれば、きっと普通の人はとっても鬱陶しかったに違いない。後年自分が真夏の砂漠の町で敬虔なユダヤ教徒の一団が、炎天下で黒い帽子を被って髭を伸ばして黒服を着ているのを見た時感じたことを、その当時の周りの人達は感じていたに違いない。

真夏のとても暑い日、夏休みの少し前だったと思うが、例の如く我々は学生服を着て、教室に屯していた。年配の数学の先生が入ってきて、授業開始。開口一番「そこの学生服の諸君、何か主義が有るのだろうけれど、例外として自分の時間だけで良いから、学生服を脱いでは貰えまいか、諸君は良いかもしれないが、こちらが暑くて適わない」とにこやかに言われた。我々はお互いに困ったものだ、と思って顔を見合わせた。又先生が、にこやかに大人の風格で言葉を換え同様の趣旨のことを言った。我々は黙って学生服を脱いだ。先生に勧められるままに、ワイシャツの袖を巻くって半袖にした。「じゃ今日もしっかり楽しく勉強しましょう」と先生は言われた。我々はそれで久しぶりに爽やかに勉強をした。長じてから思い出した時は「ああ、あの時は総合力で一本取られたんだ」と思った。ついでに言っておけば、勿論当時学校にクーラーというものは無かった。クーラーの風に当たった事も無かったかも知れない。

冬は冬で、オーバーコートも着ないで、吹雪の中を歩いて登校したのだから偉いものだった。襟巻きと手袋はしていたけれど。まあ良く吹き曝しで遭難しなかったものだ。

季節は巡るが、服装に合った季節は短く春の2ヶ月と秋の2ヶ月、後の8ヶ月は服装に合わない季節。

早朝、冷たい風が強く吹いている。工事で更地になっている所は、厚い霜柱がビッシリと立っている。厚着をした大人が急ぎ足で駅に向かっている。小学生が短い半ズボンをはいて登校している。脚は殆ど剥き出しだ。つばの有る帽子は被っているけれど、オーバーコートは着ていない。多分裕福な家庭の子で私立の学校なのだろう。

彼らは「半ズボン組」に入っているのか知らん。それとも厚着している大人が作った「子供は元気に冬でも半ズボン組」に入れられているのか知らん。

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