« 服一枚 | トップページ | ススキの野原 »

2007年3月11日 (日)

オタスケマン

休みの日にボンヤリテレビを見ていたら、ローカルTVが都内の名所を案内していた。最近はご無沙汰しているが、以前に行ったことが有るところが何カ所か有った。その中に六義園が有った。何かフッと頭に浮かんだが、直ぐ忘れて、モヤモヤっとしていたが、映し出された園内を見ている内に何十年ぶりかでその事が思い出された。

六義園は駒込の駅から徒歩数分の所にある。江戸時代に柳沢吉保の下屋敷だった。吉保が設計、造園の指揮もしたことになっている。何年か後に庭園は完成した。造園当時から評判が高かったらしい。今は都立公園である。入って直ぐに大きな枝垂れ桜が有る。もう直ぐ時季を迎える。回遊式築山泉水庭園である。細密に考えが及んで良く作られているが、サッパリさり気なくて自分は気に入っている。もし住んでいても全く見飽きない良い庭園だとおもう。明治以降変遷が有ったが、現代に残った、良い事だ。

吉保は、出世もしたが引き際も立派だった。末節も見事だった。庭も残したし、名も残した。

二十数年前、家内と六義園を散策した。中秋である。未だ紅葉には少し早かった。園内は閑散としていた。ゆっくり散策して、何カ所かでは座って休んだ。茶屋の辺りで池の縁に上がっている亀を見ているとき、遠くで「あっ」という声が聞こえた気がした。藤波橋の方を見ると、リヤカーを引いた小母さんが、脱輪して難儀をしている様子。「オタスケマン只今参上」と叫んでその場に走って駆けつけた。クランクになった石橋の縁からリヤカーの片側の車輪がはみ出していた。直ぐ助け上げて橋を渡った。その時自分は一瞬姿勢を崩して、池に落ちそうに成った。落ちていれば結構面白い事に成っていたと思う、小母さんもかなり困惑しただろうけれど、事無きを得た。

小母さんはリヤカーを引いていてそれには気付かなかった。リヤカーにはお菓子と飲物が積んであった。小母さんは何回もお礼を言った。何時も渡って居るけれどこんな事は初めてだと。自分は来た道を帰り掛けた。家内が後ろから追いついていた。小母さんはリヤカーの中から、ポテトチップスを出して、自分に呉れた。辞退したが、とうとう渡されてしまった。何となく恥ずかしい気がした。子供の時、行商の小母さんに何か手伝ってお菓子を貰ったことが脳裏を過ぎった。

久しぶりでこの事を思い出した。リヤカーの小母さんもこの事を思い出した事が有るに違いない。お互い会ったのは一度きりだけれど。

|

« 服一枚 | トップページ | ススキの野原 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/119338/5656192

この記事へのトラックバック一覧です: オタスケマン:

« 服一枚 | トップページ | ススキの野原 »