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2007年3月17日 (土)

ススキの野原

ずっと昔、中学生の頃の話。

学校からの帰り道に少し違う道を通ると、広い、とても広い荒れ地が有った。冬は一面の真っ白な雪原になったけれど、秋はススキの野原。

近辺に家は無く誰も通らない。その真ん中辺りに有る小高い所の直径5メートル位のお皿の様な緩い窪地がいつもの場所。

いつも寝ころんで空を見ていた。青空の中、雲がゆっくり流れていれば最高。黙って空を見て過ごす。トンボが群がり飛ぶ。低い風の音が聞こえる。微かに草の音、その辺りをジッと見ているとヤチネズミ、こちらが黙っていれば恐れることなく自由に動き回っている。

未だ夏の息吹が残っていれば、桔梗が咲いている。センブリが花盛り。丈の高い草も茫々と茂っている。

秋が遅くなると、ススキは枯れて敷いて寝ころんでいると暖かみさえ感じる。そんな日は雁がカギで空を行く。先頭から左に2羽、右に10羽、もう冬は近い。

ある日、いつものようにいつもの場所に寝ころんで空を見ていると。白いものがチラチラとフワフワと空を飛んでゆく。良く見ればススキの穂。少しずつ数が増えて、しまいには数限りなく空を覆い尽くして微かな風に流されて飛んでゆく。風が緩むと地面に舞い降りる。黒い学生服の上にたくさんのつくばねの様な枯れた穂が降り落ちる。緩い風は穂をドンドン東の空に運ぶ。

2人で空を見られたらなあ、と思ったけれど、結局何も言わず中学校を卒業してそれ以来会うことも無かった。もうそんなことを思って寝ころんでいたススキの野原ももう無いだろう。前から無かったようにそこにはもう無いだろう。

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