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2007年6月20日 (水)

桑の実拾い(1)

最も望ましいのは金曜日の夕方から風が吹いて、土曜日の朝には小雨が降ること。

田舎に居る時に、12回試しに食べてみたことが有る。品種が違うのか、気候の為か、こちらほど実が熟さなくて甘くなかったし、食欲をそそるものではなかった。そもそも実が何分の1ぐらいの大きさしかなかった。木が生えているところと言えば、川縁の崖で取るのにも適していなかった。平地で余り見た記憶はない。戦前は養蚕も有っただろうけれど、自分が小学校で養蚕の事を習ったときには村に養蚕をしている人は居なかった。親に聞いたら昔はやっていた、素っ気ない返事だった。

三木露風の赤とんぼは不意にラジオから聞こえてくると、聞き耳を立ててしまう。田舎の景色に合う歌だと思う。その中にある『山の畑の、桑の実を 小籠に摘んだは、まぼろしか』というのは、自分にとっては当時それ程実感の有る歌詞ではなかった。今そう言う子供時代が無かったことは、残念なことだと思っている。

小さなレジ袋を持って拾う。木の周りを移動しながら拾う。1周すると新しいのが落ちている。又ゆっくり拾って行くと、時々目の前に落ちる。帽子や背中に当たって落ちる。レジ袋は段々重くなって行く。拾うのは楽しい、落ちていればついつい拾ってしまう。もう今日はこれぐらいで止めようと思いながら、暫く拾う。もう良いのは無いなあ、と思いながらも目は辺りを探している。桑の実拾いは楽しい。

天気がよいと何人にも声を掛けられる。殆どは自分より年配である。ガックリするのは「何をしているんですか」((質問者の大部分、桑の実を知らないらしい。もしかしたら目が悪くてよく見えないのかも知れない))。「拾って何するんですか」((二通りあり、1、地べたに落ちたものを拾って、どうするのだ、見たいな。2、食べるんだろうけれど、どう言う風にして食べるのだろう))。「このジャム美味しいんですよね」「果実酒ですか」((こういう人とは一頻り話をする))。

通りすがりのホンの少しの人が声を掛ける。持っている袋を渡して一緒に取りながら、ジャムの作り方を教える事もある。最も困るのは質問しながらそこら辺りを彷徨いて良い実を踏みしだく人、そう言う人は質問していたかと思うとプイと何処かに行ってしまう。別の困る人は、自分が嫌いな犬を自分にけしかけて「邪魔でしょう」とか言う人。犬は結構桑の実が好きだ。夢中になって食べる犬が多い。((こういうときは黙っているが、早く立ち去る事を念じている))「そんなものを食べたらお腹壊すでしょう」((勿論犬に言っている))

因って金曜日の夜に風が吹いてたくさん落ちているけれど、土曜日の朝、小雨が降って、散歩する人がいないのが、桑の実拾い日和。

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