深海魚
自分は水族館が好きだ。水族館のアクリルの向こうには綺麗な景色が展開している。1年に何回も見に行く。巨大な水槽の前で見ていると目眩がしそうになる。魚が自分にぶつかるわけは無いのだが、向かってきた魚の群が自分の所で二つに分かれて通り過ぎるような感覚に囚われる。それらは自分を単なる岩か何かの障害物として認識する。こちらから先方を見ているのとは全く違った感じでこちらを認識している。
夕方駅前を歩いていると、たくさん人が流れるように歩いている。何本かの筋に成って流れている。みんな水族館の魚の様だ。中には恐い顔をして先頭を切って居るような人がいて、深海魚に率いられた雑魚の様な群もある。それぞれの流れが、その意志で進むように流れている。駅のコンコースは、それなりの流れで歩かないと、邪魔者扱い。自分は今一流れに乗れない。立ち往生しそうだ。合流する交差点で上手く入り込めないドライバー。
誰でも深海魚と言われたら気分は悪かろう。リュウグウノツカイだの、アンコウだの、フクロウナギだのと言った日には、絶交か一発殴られる。「あんたは何なのよ」。
駅のコンコースはそんな深海魚が群で流れているようだ、大きな目を見ひらいているのに全く無表情で、反応無く近づいては通りすぎて行く。自分はそんな深海に漂っている。
話は変わりますが、自分の田舎の名物であるハタハタは、分類上は深海魚です。私の大好物の1つです。
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