« 中央線の新車両 | トップページ | 雨のホームレス »

2007年10月27日 (土)

銀行口座解約

可奈子は和彦の気まぐれな送金は当てにはして居なかったけれど、何かの拍子に思い出して暫く物思いに耽る事が有る。別れてから4年が経った。つい最近のような気もするし、もうずっと昔の様な気もする。自分の事ではない気がするときもある。

あの時より子供も大きくなって毎日夜有った事の報告を子供達から聞くのに忙しい。毎日同じ様でもあり毎日新鮮でもあり、日々が風の様に飛んで行く。

可奈子の意志としては別に記帳しなくても良いのだと思っているが、新宿に行くとどうしても引っ掛かり心の中は葛藤している。公園に行くのだからと言い訳をして口座の有る銀行の方へ歩く。その銀行の玄関まで来ると、ここまで来たのだから、本のついでにと銀行に入りATMコーナーで記帳した。詰まり家を出るとき通帳を鞄に入れて出たのだ。その時だってどうせ記帳しないのだけれど、もし成り行きで傍まで行ったら、ついでなのだから記帳した方が良い、本当は別にしなくても良いのだけれど、と。

試すように今まで何回か電話してそれとなく無心した。大抵はそれから1ヶ月ほどしてから、頼んだ金額より少し多めに送金してくれた。最初はちょっと苦しいときだったが、使わなかった。今まで一度も使っていない。

気まぐれだけれど7月か12月に送ってくれることが多かった。今まで10回ぐらい送金してくれた。お互いの未練なのか。

記帳して振り込みが有ると一瞬ほっとする。暫くすると自分にちょっと苛立った。繋がりを求める自分に呆れた。

出会ったときから何となくボンヤリした予感が有った。はね除ければ予感は、はね除けられたのか知れないが、結局は予感通りの事をしてしまった。

淡い期待で記帳して振り込みがないと暫くの間はちょっと溜め息をつくだけであったけれど、最近は愛情が盛り返したのか落胆が大きくなった。

可奈子は最後の記帳をしてから3ヶ月後の6月に新宿に出た。朝鞄に通帳を入れた、公園の方に歩いていった。銀行の前を通った。中に入って口座を解約した。

7月に和彦が送金したお金は宛先無しで戻った。

|

« 中央線の新車両 | トップページ | 雨のホームレス »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/119338/8492170

この記事へのトラックバック一覧です: 銀行口座解約:

« 中央線の新車両 | トップページ | 雨のホームレス »