家族同然のペット
119番「ハイ119番、消防本部です、どうなさいました」
主婦「119番ですか、直ぐ来て頂戴、直ぐに」(???)
119番「火事ですか、救急ですか」
主婦「救急に決まっているでしょう、家の子が急病なんです」(そりゃあんたは知っているだろうけれど)
119番「意識は有りますか」
主婦「グッタリしています」(意識が有るかどうか聞いてんのよ)
119番「呼吸は有りますか」
主婦「時々唸ります」(怪しい回答)
119番「住所を教えて下さい」
主婦「本町の本多です」(地元じゃ有名人らしい)
119番「正式な住所を教えて下さい」
主婦「市役所の裏の大邸宅の本多よ、知らないの」(自分の家を大邸宅と言うのも怪しいし、
横柄な態度だから市長の後援会長かも知れない)
119番「こちらは消防本部なので正式な市から言っていただかないと分かりません」
主婦「消防署から真っ直ぐ来て市役所の交差点を曲がれば直ぐだわよ」(困ったもんだ)
119番「何市ですか」
トンチンカンな問答が暫く続いて、やっと住所を確定した。出動できる最寄りの消防署から救急車が出発した。電話が有ってから6分後には現場に着いた。
出動した救急隊員は少し身構えた。署内で色々な噂が有る家だ。しかし救急に差別は無い。一刻も早く救急患者を搬送すべく、車から降りた。
広いお屋敷は森閑としている。門灯は点いているが門扉は閉じられている。やむなく呼び鈴を押した。ちょっとオドオドした中年の女性が出た。手伝いさんらしい。
「只今門扉を開けますから、静かに入って来てください」
無人の庭の門扉が開いた。救急車は静かに進入して車寄せで止まった。間もなく大きな玄関ドアが開いた。ストレッチャーを出して準備する傍ら、救命救急士とリーダーが患者の部屋に急いだ。大きな応接室に通された。
豚の様に太った中年のオバサンがお菓子を食べていた。一瞬呆気にとられてキョロキョロすると、少し離れたところに大きなソファーがあり、豚の子の様な太った犬が一匹居て時々唸っていた。
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