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2009年1月 2日 (金)

浦島太郎(4)

太郎は粗末な小屋で雨露を凌いでいた。夢と現の区別がハッキリしない。そんな或る日あと数日で死ぬであろうと予感した。夜眠りに就き数日夢を見ながらそのまま死んでしまった。

色々なことが夢に出て来たが、竜宮城の事は出てこなかった。繰り返し繰り返し出て来たのは小さな子供の頃のことばかり。貧乏ながら明るく楽しく暮らして、お母さんとお父さんが居て、愛情に包まれて日々を過ごしたこと。

お父さんとお母さんに折に触れて抱き上げられた。もう少し大きくなってからは、近所の友達と海辺で遊んだこと。山に行って、木の実やキノコ、山菜を採って遊んだこと。そんなことを繰り返し夢に見た。長じてからのことは全く夢には出てこなかった。太郎は母に抱き上げられて、母の匂いを嗅いで、満面の笑みでいたところで死んだ。

太郎の死に顔は微笑んでいるようだった。

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