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2009年10月 8日 (木)

鮒釣り(1)

小中学生の頃、春から初夏に掛けて近所の沼によく、鮒釣りに行った。

この沼は、角助堤と言って農業用水の為に、角助さんが多分17世紀の後半に作った。真夏は水位が下がって、底の土が見え、ハスがニョキニョキ生えていて花が咲き、浮島があちらこちらに出て、“沼”という感じだった。冬は高水位で結氷し、春先は水を満々と湛えて、青っぽくさえ見え、周りの景色からしても“湖”の様だった。

自分達が子供の頃は、その堤の内側は、つまり水が有る方は、コンクリートで補強されていた。外側はかなり傾斜のきつい法面で、緩い傾斜にした道路部分以外で登ったり降りたりはしなかった。その堤の幅は多分56メートル位、真ん中部分はちょっと轍が有った。オオバコやチカラシバがビッシリ生えていた。法面にはウツギの様な小木や各種の草がビッシリ生えていた。

春、未だ草が緑に成る前に、その土手の枯れ草の上に座って、コンクリート面に足をぶらつかせて、鮒釣りをした。岸辺には葦や蒲その他の水辺の草が生えていたと思うけれど、釣り糸を垂らす当たりには、殆ど障害物は無かった。ポカポカと暖かい日を浴びながら、鮒釣りをするのは楽しかった。友達と23人で行くことも有ったし、1人で行くことも多かった。少し離れて別の釣り人がいたりもしたが、特に気にすることは無かった。

土手にボンヤリと坐っていると、眠くなってウトウトし、時には枯れ草の上に仰向けで眠ることもあった。春の日の光を浴びて枯れ草の上に寝転んでいるのは、今にして思えば何と贅沢な少年時代だったのだろうと思う。

初夏に成って、草に緑が多くなると草丈が伸びて見ることはなかったが、枯れ草ばかりで、冬の間雪に押されて居たので、背が低くなっている頃は、草の中に時々野ねずみを見た。誰かヤチネズミと教えてくれた。78センチで薄い茶色か、灰色ぽかった。自分が坐っている直ぐ傍まで寄ってくることが度々あった。当時はいつもの事で特に気にも留めて無かった。多分、そこら中に居たのだと思う。

沼は、最近は昔より浅くなって、ハスや葦、蒲などが増えて、用水としては、以前より良くないらしい。沼を一周する遊歩道が造られて、田舎の人達が散歩をしているとの事。夏の早朝、ハスが力強く咲いている景色は、素晴らしい物だと思う。

作られてから300年余り経って、当時とは様子が違ってきたが、社会は豊かになって来たと言うことだろう。用水池としての寿命は尽きかけているかも知れないが、角助さんも許してくれるだろう。

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