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2010年3月 2日 (火)

親父と夜釣り

その年は気が向いて、田舎に帰った。

8月の上旬だった。日中は暑かった。蝉がそこら中で鳴いていた。夕日が沈むと、北国だけ有って、余り蒸し暑さは無く凌ぎやすい。

その日は夜釣りと言うことで、少し早めの夕食。

長ズボン、長靴、長袖のシャツ、手と顔にタップリ防虫スプレーを吹きかけた。日中予め準備していた道具を持って、煌々とした月明かりの下を歩いた。家の裏から小路を少し歩いて、川の土手に出た。暫く歩いて土手の緩いところから砂利の川原に降りた。川幅十数メートルの真ん中辺りだけ、水が流れている。水のない河床を歩いて、川が曲がっている所まで出た。家から10分程度で釣り場に着いた。その縁から深くなり数十メートル池のように成っていた。父の話だと、そこに魚が溜まっていて、沢山釣れる。何回か来たが、いつも大漁でとっても愉快だ。

何年かに一回季節が良いときに水が足りなくて魚の溜まるような所が現れれば、その季節に数回1人で愉しんでいたらしい。昔は漁はお金になるから、好きだけれど、釣りはお金にならないから、と父は冗談で言っていた。何回か誘って、1回ぐらいは自分に付き合ってくれたが、その時は父の方から、話題に出して釣りに誘ってくれた。

大々的に準備して、車で遠くまで釣りに行くのもそれはそれで良い。暇な午後や夕食後暫くの間、家から歩いて釣りに行くのは暢気で、此方の方がもっと良い。海辺に住んでいて、夕方岸壁でアジやメバルが釣れたらもっと楽しいだろう。

懐中電灯で照らして、餌を付けた。餌はドバミミズ、昼に畑に行ったときに掘って置いたものだ。とっても新鮮。大きいので2つに切って付けた。竿は15尺。仕掛けを振り込んでから、数分で電気浮きがフラフラし始めて、間もなく沈んだ。父がサッと合わせた。竿が大きくしなった。釣れたようだ。暴れようからしてナマズらしい。段々引き寄せて、後ずさりして、ナマズを川原に上げた。そこで自分が暴れている魚の口に軍手を履いた左手の親指を差し込んで掴み上げ、右手で針を外した。口の大きな網魚籠に入れた。網魚籠の紐を竹に絡ませて、竹を川原に指して、魚籠を水に沈めた。

「あ、どうも」「大きいねえ」時々、最近の釣りの話や、昔の釣りの話をポツリポツリとしながら、釣りを続けた。1時間ほどで、それぞれ数匹釣れた。ナマズ、コイ、ニゴイ、どれもこれも大きいものばかり。

もう遠い昔のことだけれども、時々思い出して懐かしく楽しい気分になる。

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