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2010年9月24日 (金)

電車の樟脳(4)

伊藤は月に数回彼女のアパートに行っていた。少し傾いだアパート。アパートは門の所だけ開いていて周りは全てブロックの塀で囲まれていた。門と玄関の間に小さな木が23本有っただけで、庭らしいものは無かった。建物の真ん中は暗くて長い廊下。暗い裸電球が何個か天井に有った。入って直ぐ右に共同の便所が有った。男性便器には樟脳が23個転がっていた。廊下の真ん中に2階への階段。長い間通っていたけれど、伊藤は2階へは一度も足を踏み入れたことが無い。

彼女の部屋は玄関から入って二つめの左の部屋。建て付けの悪いドアを開けると、小さな土間が有って、小さな流しが有る四畳半の部屋。窓は南に面して居たけれど、大きな建物が有って暗い部屋だった。隣の部屋との境に押し入れ、下はタンスの様に引き出しが付いていた。その押し入れから、風の加減からか時折樟脳の匂いがした。

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