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2010年9月26日 (日)

電車の樟脳(5)

当時携帯電話というものは無かった。大抵の貧乏な学生は固定電話だって勿論無かった。部屋で落ち合って賑やかな近くの商店街まで出て、夕食を食べた。おかずが自由に選べる定食屋。普段は地味な食事だったが、2人一緒の時は、少し贅沢をした。色んな人達が居た。1人でお酒を飲んで、食事をして帰るオジサンも居た。1人で食事をしている人は沢山居た。

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2010年9月24日 (金)

電車の樟脳(4)

伊藤は月に数回彼女のアパートに行っていた。少し傾いだアパート。アパートは門の所だけ開いていて周りは全てブロックの塀で囲まれていた。門と玄関の間に小さな木が23本有っただけで、庭らしいものは無かった。建物の真ん中は暗くて長い廊下。暗い裸電球が何個か天井に有った。入って直ぐ右に共同の便所が有った。男性便器には樟脳が23個転がっていた。廊下の真ん中に2階への階段。長い間通っていたけれど、伊藤は2階へは一度も足を踏み入れたことが無い。

彼女の部屋は玄関から入って二つめの左の部屋。建て付けの悪いドアを開けると、小さな土間が有って、小さな流しが有る四畳半の部屋。窓は南に面して居たけれど、大きな建物が有って暗い部屋だった。隣の部屋との境に押し入れ、下はタンスの様に引き出しが付いていた。その押し入れから、風の加減からか時折樟脳の匂いがした。

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2010年9月20日 (月)

電車の樟脳(3)

日帰りの小さな電車旅行。車内に立っている人は居ない。移りゆく景色を見ている。脈絡もなく様々な事どもが脳裏を過ぎって行く。つい最近の事だったり、遙か昔の事だったり。本で読んで頭に刻み込まれた情景だったりする。

車内の遠くから何かの加減で薄い樟脳の臭いが、漂ってくるときが有る。その臭いにまつわるずっと昔の記憶が呼び覚まされる。

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2010年9月16日 (木)

電車の樟脳(2)

11月か12月の急に寒くなった或る日、電車の中は樟脳の香で満たされる。それに誰かの香水がアクセントと成って。そんな匂いが好きな人は良いけれど、伊藤の様に樟脳その他その類のもの過敏症に取っては、憂鬱な季節。混んでいる電車で、体の大きなオジサンが目の前に居る。大きなウールの厚い防寒着を着ている。それで伊藤の顔の辺りが押さえられる。それが強烈な樟脳の臭い。次の駅に着くまで3分間、さすがに息を止めてはいられない。涙ぐみながらなるべく吸わないようにする。次の駅で、兎にも角にも何事もなかったかのように、一旦降りる。別のドアから又乗り込む。さっきより酷かったりする。でもまあその季節は何処でも多かれ少なかれ、樟脳の臭いはする。少ないところを探して行脚する。そんな季節、スーパーでもデパートでも衣類売り場は敬遠。その階の階段を通っただけで、咽せ込んだり、クシャミ連発したり。長居は無用。

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2010年9月14日 (火)

電車の樟脳(1)

季節が変わるとき、服装が替わる、89ヶ月仕舞われていた物が、日常の服になる。奥に仕舞われていた冬着が表に出てくる。防寒の上着は生地が厚い。面積が広い。圧力がある。人によっては樟脳タップリのタンスに入れて保管する。樟脳の匂いの好きな人は、その服を着て、心地よく、楽しき冬の到来。その服にまつわる楽しい思い出も色々あったりする。混んだ電車の中では、何をする事も出来ずそんな事どもを思い出す。

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2010年9月 8日 (水)

ヘルシー(2)

人類は多分、高カロリー、高脂肪の食事を獲得するために、積年努力してきた。戦争の本源的理由は食料の獲得だと思う。最近は理由がぼやけて来ていて、他人の国に勝手に戦争を仕掛けて負けている変な大国もあるけれど。

日本は偶々、海に囲まれているので塩分を調達するのは比較的簡単であったが、それでも岩塩が余り出ないので、内陸部は動乱が有れば塩を入手するのはそれなりに大変だった、だから明治政府は塩を専売にしたのだ。それがここ数十年で栄養過多に成って、低カロリー、低脂肪、減塩食がヘルシーと言うことで盛んに喧伝されているが、何か違うと思う。

普段食いすぎで肥満に成っている。スポーツクラブに通って、減量って何か間違っていると思う。物が美味しくなる時を作れば、粗食でも美味しい。物その物に拘っている様だ。それで時々『ヘルシー』な物をたべて、健康に注意しているって、偽善っぽい。

我々は偶々、食料が豊富なところに居る、勿論努力の賜では有るだろうけれど、そうでない地域は多い。自戒を込めて、我々はもう少し考えた方が良いだろう。少し節約して同時代の別地域に住む人々をもっと考えた方がよい。

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2010年9月 2日 (木)

ヘルシー(1)

ヘルシーって日本語なら、形容動詞で健康によいとか健康に役立つと言う意味だろう、主に体に使う、つまり心には余り関係が無い、様に自分は理解している。つまり心の問題を抜きにして体だけについて考えている。今の日本らしい。ついでに理屈っぽく言えば英語のhealthy、これは形容詞で心と体の両方に使えて、健康な、異常のない、健康に役立つ、位の意味だろう。

自分は健康の為に、居酒屋に行けば、夏は高カロリー、高塩分の食べ物を注文する、冬はそれに加えて高脂肪のものを注文する。それに穀物系の物を注文する。『ヘルシー』なんて興味は無い。至って健康的であるし。

具体的に言えば、先ずサイコロステーキと牛すじ煮込み、チャーハン、モツ煮込みと鶏の空揚げ、焼きそば、焼き鳥、後はソーセージとか。根性があれば、帰りにこってりのラーメンを食べる。

大体注文しない物は、青菜炒め、塩キャベツ、大根サラダ、冷や奴、焼きナス、枝豆、浅漬け、生春巻き。まいわゆるヘルシーな物だが、青虫じゃ有るまいし草ばっかり食っていられるか。それに各種刺身(イカ、タコ、ホヤ、ナマコを除く、グニャグニャの軟体動物は好物だから)も注文しない。DHAは体に良いの!とか言うカマトトには言わしておけ。

定食を半ライスにして、それで、おかずもご飯も半分位ずつ残す女とは昼食を一緒に取りたくない。チャーハンラーメンセットに餃子を頼んで平らげて、水を23杯飲む女が良い。

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