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2013年2月13日 (水)

小笠原旅行記(12)

12.砲台


民宿で一緒の3人組から砲台の場所を聞いた。宿から歩いて行った。1時間だったか、2時間だったか、覚えていないが、人とすれ違うこともなく、辿り着いた。

ジャングルの中を歩いて行くと山腹に小さな入り口が有った。なんの障害もなく、自由に入ることが出来た。場所によってはちょっと高さが足りなくて歩きづらかった。間もなく開口部が見えて、砲台の主要部に出た。木々が伸びていて、開口部の先の見通しは余りよくなかった。本来は海岸線や海がよく見える場所のはずだ。

砲は当時既に台座から外れて地べたに転がっていたように思う。6インチ砲(15cm)である。多分どっかの巡洋艦から取り外して設置した物だろう。そこに設置されてから何発かは試射したのだろうか。大砲が真っ赤に錆びてそのままの形で、横たわっている光景にも驚いたが、自分がもっと驚いたのはそこにヤマ○の大きな発動機が有ったことだ。発電機を回していたのだろうか。その砲台の空間に有るものは全て真っ赤に錆びていた。大砲と大きな発動機と、その横には油差しが、今にも誰かに掴みあげられるのを待っているかのように、転がっていた。他のものは形を留めていなかった。

目の前に見える物が妙に生々しかった。数十年前、近くに駐屯していた部隊が、交替で常にここに詰めていたのだろう。将兵の声や動作の音が聞こえるような、薄く幻のように見えるような錯覚に囚われた。

妙に蒸し暑く感じられた。暫く見てから帰路に付いた。

その時は、見て回らなかったし、気付かなかったが、当時は未だ、高射機関砲や高角砲もそれと分かる形を残して何基か林の中や、やや荒れた畑の中に有ったらしい。後で本やネットで見た。

自分達の親世代が太平洋戦争で戦った最後の生き残りである。戦中は大東亜戦争と言っていたが、敗戦国日本は戦勝国から、太平洋戦争と名前を変えられた。お国のために志願して、招集されて、兵隊となって、戦って、死んで、生き残って、もう幾年かすれば、兵隊としての戦争体験者は全て鬼籍にはいるだろう。勿論戦ったのは青年の男だけではない。

女も子供も年寄りもみんな戦った。そして現代が有って、自分が今こうして生きている。みんな昔の事は余り語らないけれど、その年の分を生きていたんだ。


明るい空の下、戻りは二人とも無口になっていた。妙に喉が渇いて水を飲みながら帰った。



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コメント

今晩は
わたしの、子供時代には飛行場の管制塔見たいのが残ってましてね。恰好の目印でそこを目指して遠征した記憶があります。
今は残っているか、分かりませんがかなり広大な敷地でした。
わたしは、戦争終結7年後に誕生ですから5・6歳上の先輩方は微かに戦争の記憶があると思います。70歳前半の先輩には語り人として長生きして欲しいものですcancer

投稿: チョンプー | 2013年2月13日 (水) 18時30分

チョンプーさん、nightこんばんは。
その管制塔は中島飛行機の工場、今のrvcar富士重工に有ったかも知れませんね。隼も零戦も作っていた訳ですからairplane
鳥の鳴き声や風の音しかしない所での、6インチ砲の存在感は圧倒的でしたsandclock
自分の友達の爺は、子供の時に叔父さんを探して、父親と一緒に、原爆投下数日後の広島を歩いたそうですsweat02

投稿: ハシビロコウ | 2013年2月13日 (水) 20時27分

歴史のことは、なんとも言えませんが、戦勝国によって 日本が悪かったけ と云うのは賛同できません。
それにしても、各地に 先人の ご苦労と 歴史がありますね。

投稿: 朝太郎 | 2013年2月14日 (木) 08時01分

朝太郎さん、sunお早うございます。
昨日は近くの小川のある公園を散歩しましたが、typhoon北風が強かったです。今日は穏やかな様です。
父島には第1から第5ぐらいまでの入植、移住がある様ですが、第1次のご子孫は、欧米系で、今でもそれと解る感じの方がいます。心は日本人ですが、計り知れない二重のご苦労が有ったように思いますsweat02

投稿: ハシビロコウ | 2013年2月14日 (木) 08時26分

最初から 今3日目かな?
悪いですが病気症状の処は 斜め読み
今タイ時間 16時此処まで読みました
サヨリの刺身 欲しい 天ぷらも美味しい
コーンケンは海の幸有りませんから
冷凍食品だけ ゆっくり読みます

投稿: カメザコ | 2013年2月25日 (月) 18時15分

カメザコさん、こんばんはnight

ご訪問有り難うございます。

ここ数日とても寒かったですsnow今日は無風快晴で、10℃以下でしたが、散歩は暖かく感じましたnotes

サヨリの刺身テンプラ美味しいですね、コンケーンは確かに海からは遠いから冷凍物が多いでしょうね。

今後とも宜しくお願いしますpenguin

投稿: ハシビロコウ | 2013年2月25日 (月) 20時33分

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