2012年10月16日 (火)

初めてのタンブン   



バンコク - 水上マーケット


 誰にでもちょっと不思議な、因果めいた話が幾つか有ると思う。今日は自分に取っては忘れられない
1つのお話しを聞いて頂きたい。それは30年近く前にバンコクで、フラフラしている時に起きました。

みんなで水上マーケットに行くことになった。で当日、どっかへ集まった。何という水上マーケットへ行ったかは覚えていない。多分バンコクの近郊には、それなりに有名な水上マーケットが何ヶ所か有ると思うが、いつもアプローチが違うし、集合場所が違うし、回って歩くところが違って、相当前の事なので何処へ行ったかは分からない。でも多分、南西の方に行った気がする。

待ち合わせの場所も覚えていない。もしかしたらどっかのホテルから出発したかも知れない。例の如く、時間には誰も来なくて、自分と、友達で日本に数年居たタイ人だけが概ね時間に来て、お茶を飲みながら待っていた気がする。

それでどうにかこうにか、出発して、現地について。巡り歩いた。

普通に水上に家が建っていて、店が有ったり、棺桶が飾ってあったり、子供が泳いでいたり、小舟が行き交い、まあ普通の水上マーケット。

ブドウ畑にも行った。マスカット系の黄緑色の自分が好きなブドウが沢山生っていて、良かった。畝で仕切られていなくて、水路で仕切られていて、地域によって違うものだなあ、と言う感じ。

ファランの畑も有った。黄緑の大きなグアバ。ナイフでザクザク割って、トウガラシ入りの砂糖を付けて食べれば、それはそれで美味しい。中近東にある、小振りで熟して、やや色づいた香りの有るものはタイでは見たことがない。

後で分かったことだが、マンファランと言えば、ジャガイモ、コンファランと言えば白人、本来はフランス人らしい。単にファランと言えばグアバ。

畑の中の小移動は喫水が高い小舟で誰かが揺すれば簡単に沈没しそうで、不安だった。

そうして或る寺院に着いた。これで一安心。23メートルの仏像が有った。金箔が全面に張り付いており、その端が少し剥がれてヒラヒラしていた。光の当たり具合で、輝くようでもあり、動いて生きているようでもあった。

タイ人は皆、お祈りセットを買って礼拝した。自分はそこらでフラフラしていた。その時、母娘で参加した娘経由で、母が、自分は仏教徒かという質問が有り、そうだと答えると、タンブンすれば良いことが有ると言うことで、自分もやや恥ずかしくて、ぎこちなかったが、それなりに礼拝して、石の仏像に金箔を張り付けた。その時初めて、タイルの上に正座もどきで坐り、何度かお辞儀をして、何度か合掌してタイルの上に掌を付けて、それらしくお祈りした。少し達成感が有った。

その母は、自分の事のように喜んでくれた。「きっと良いことが有りますよ」

どっかでお昼を食べた気がするが、全然覚えていない。どうやって帰って、どうやって散会したかも全然覚えていない。

それから何日か経って、ウィタユロードからプロエンチットロードに入りディゴの赤い花が咲く並木で、ややデコボコの舗道を歩いていたら、如何にも田舎から出て来た風の僧に、話し掛けられた。多分道を聞かれた。自分はとっても分からないので、「コンジップン、マイサーブ」と答えて、ニッコリして別れた。その間23秒。それから20メートル位歩いたら、目の前、23メートルの路上に、木ノ上から蛇が、多分グリーンスネークが、自分の真ん前に落ちた。23秒後に通過するはずのその場所に、巡り合わせが悪ければ、自分の丁度頭上だった。ちょっとゾクッとした。そのヘビが、道路脇の植え込みに逃げ込むまでそこから動けなかった。

それから歩き出した。数日前のあのお母さんの笑顔が思い出された。「きっと良いことが有りますよ」

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